タイトル「救世主」 洒落怖より

キーワード
1ある所
2ワイシャツ男
3他の住人
4アカン奴
5談笑
6夢
7拳と蹴り
8可動フィギュア
9創作
10量産品

◇1
2年位前の実話。
当時は金が無くてリゾートバイトで、
ある所に住み込みで働きに行ったんだ
けど、そこの宿泊施設が
もうなんていうか陰鬱。
霊感がないわけじゃないけど
例え無くても出そうな雰囲気の所だった。
◇2
で、案の定。
部屋に入った途端に白い女が出現。
夜に扉のノック音、
枕元でミシミシ鳴る畳、
便所の入り口に後ろ向きに
ボーっと突っ立つチェック柄のワイシャツ男に
大量の便所コオロギと、
とにかく劣悪な環境だった。
◇3
そんなこともあって
気の疲れから来る勘違いかも知れないと思ったんだが、
どうやら他の住人も見ていたようだ。
働き初めて3週間くらいしてかな。
俺がやめるきっかけになった出来事が起きた。
◇4
夜、同僚達と他愛もない話をしていたら、
膝まで髪を伸ばした全身びしょ濡れの女が現れたんだ。
皮膚がぶくぶくで口元が笑ってんの。
優しい笑顔じゃなくて、
悪いこと考えてそうな嫌な口元。
一発でわかったよ、
あ、こいつアカン奴や、って。
◇5
そんなこと考えてたら
動きが止まって振り向き始めた。
やべって目を逸らすも時すでに遅し。
その時点では見えなくなってたんだが、
一時だったんだな。
談笑を終えた後
部屋に戻ろうとしたら後ろから嫌な感じが。
気にしないようその日は直ぐに寝たんだが、
出てきた。
◇6
初めて見たときは
口元しか視えなかったんだけど、
夢に入ってきたこの女の顔は
手と同じでぐじゃぐじゃ、
目は空洞でやっぱり笑ってやがった。
◇7
徐々に近づいてきて
「来んな!来んなってばおぃぃぃぃぃ!」
て思うも無駄。
ゆっくり顔が近づいて来る。
もう何も考えることができず
胴あたりまで近づいて腕が伸びたとき
いきなり小さな女の子2人組が現れて
女の顔に拳と蹴りを喰らわした。
◇8
女、横に吹っ飛ぶ。
その後も殴る蹴るの追い討ちを仕掛ける2人組。
「女の子?!2人!?」
「..守護霊様だとしても何で小さい女の子?」
開いた口が塞がらず、
正直訳が判らなかった。
が、よくよく見ると
俺がかなり大切にしていた
可動フィギュアだった。
◇9
その後、一人は
「触るな!」
と一喝し、
もう一人は俺に微笑んでくれた。
気がついたら朝になってて、
数日後バイトは辞めました。
自分で書いててなんだが創作臭がするよ。
◇10
量産品なのに付喪神になるのかとも思うし。
仮に量産品が付喪神になるんだとしても早過ぎる。
なんらかのモノが
イメージし易い形で助けてくれたのか。
そもそもが勘違いなのか。
まぁ、よくは知らないけど、
なんにせよこれからも大切にしていこうと思う。
因みにそこの近くには
スポットがあったご様子。